ビザ申請用の医療保険をご案内していると、契約前の段階でこんなご相談が届きます。
「既往歴があるので、その分を補償から外してもらって安く加入したいのですが」
そこから続くのが、「持病はあるが今は通院していない」「外してもらうのなら、わざわざ伝える必要もないのでは」という発想です。
保険料を抑えたい気持ちは当然だと思います。ただ、この考え方は途中で行き止まりになります。そのまま契約まで進めてしまうと、ビザが取り消される事態にまで発展しかねません。

(ここまで準備してきて取り消しは、いちばん避けたい結末です)
そこで今回は、スペインの保険契約法と在日スペイン大使館が示している学生ビザの保険要件をもとに、既往歴がある方が押さえておきたい点を整理します。
ビザ申請用の医療保険に何が求められるのか
在日スペイン大使館の学生ビザ(Study visa)のページには、医療保険についてこう書かれています。
保険契約は、スペインの公的医療制度で保障されているすべてのリスクをカバーしている必要があります。 (在日スペイン大使館|学生ビザ(Study visa)公式ページ)
一読すると、かなり漠然とした基準に見えますよね。ところがこの短い一文には、具体的な条件が畳み込まれています。
■ 実務上クリアが求められる条件
・スペイン当局の認可を受けた保険会社の商品であること
・免責期間(carencia)が設定されていないこと
・補償の除外事項がないこと
・自己負担(copago)がないこと
・補償額に上限がなく、診療・入院・外来を全額カバーすること
・渡航者向けの海外旅行保険では要件を満たさないこと
条文が短いのは、基準が甘いからではありません。「公的医療制度がカバーしている範囲」に何が入るかを知っている人向けに書かれている、というだけの話です。
既往歴は、契約前に伝える必要がある?

ここが本題です。
「今は通院していない」「スペインで治療を受けるつもりはない」という理由だけで、過去の病歴を伝えずに進めるのは避けたほうがいいです。理由は2つあります。
1. 告知そのものを省略できない
スペインの保険契約法(第10条)は、契約前に持病を申告することを加入者の義務としています。実際に医療機関にかかる予定があるかどうかは、判断に関係しません。
既往歴を補償の対象から外すことは、条件次第で可能な場合もあります。ただ、それができるのは保険会社に申告したあとです。
「結局外すのだから」と告知を飛ばしてしまうと、手順そのものが逆になります。
2. 外した時点で、ビザの条件から外れる
ビザ側の要件では、補償に除外事項のない医療保険であることが求められます。
つまり持病を除外して組み立てた保険は、告知の有無にかかわらず、その一点だけで審査を通らない可能性があります。安く抑えたつもりが、申請に使えない保険になってしまう、というわけです。
告知した場合と、しなかった場合の違い

■ 申告した場合
・購入した契約期間はまるごと有効なまま
・提携先の病院で、自己負担なしの受診ができる
・発行される証明書が、実際に効力のある契約内容と一致する
■ 申告しなかった場合
・申告義務違反として、保険会社が契約を解除できる
・持病と無関係な医療費まで、まとめて支払いを断られることがある
・別の保険会社に申し込むときにも影響が出ることがある
・提出したビザ書類と、この先の更新の両方にリスクが残る
「伝えなくていい」という誤解はどこから来るのか
現地の保険代理店に既往歴のことを相談すると、「その病気だけ補償から外せば加入できます」と案内される場面があります。
一般向けの医療保険であれば、既往症を一定の条件で対象外にして契約するやり方は確かに存在します。この説明自体が誤りというわけではありません。
問題は、ビザ申請に使う保険では前提が変わることです。除外事項がないこと自体が要件に組み込まれているためです。
ですので、「持病があるから、安くするために外してもらおう」と考える前に、この順番で進めてください。
① 既往歴を保険会社に正確に伝える
② ビザ用の医療保険として必要な条件を確かめる
③ その条件を満たす商品で契約する
既往歴がある場合の進め方
やることは1つだけです。過去の病気や持病について、まず正直に伝えることから始めてください。
とはいえ、線引きに迷う場面は珍しくありません。
・子どもの頃の入院は、伝えたほうがいいのか
・何年も前の病気で、今はまったく治療していない場合はどうか
・健康診断で指摘を受けただけの項目は含めるのか
ここで大切なのは、「これは関係ないだろう」と自分で線を引いて省いてしまわないことです。保険会社がどの範囲の情報を求めているのかを確認したうえで、必要な病歴を提出しましょう。
【現地スタッフからの一言】
ここ最近、Extranjería(移民局)やUGEは、更新や長期居住許可の審査で、過去にどんな保険に入っていたかまで踏み込んで確認するようになってきています。
初回だけうまく通せば済む、という進め方は通りにくくなっているので、最初の契約からきちんと告知しておくほうが、結局は手間もリスクも小さくなります。
ビザ用の保険こそ、価格だけで決めない
ビザ申請の場面では、保険料が安いかどうかより先に、要件を満たしているかどうかが問われます。
「除外すれば安くなる」という理由だけで商品を決めてしまうと、申請の直前になって「この内容では条件に届いていない」と分かることがあります。
留学や移住の準備を積み上げてきて、最後の一枚でつまずくのはもったいないですよね。契約の前に自分の状況を伝え、ビザ申請に使える内容かどうかを確かめておきましょう。
▶迷ったときは、日本語でご相談ください
「昔かかった病気も伝えるべき?」「通院はしていないが持病がある場合はどうなる?」
そんな一問からのご相談でも問題ありません。
innogroupが手がけるinnoinsure(イノインシュア)では、スペインのビザ申請で必要になる医療保険を日本語でご案内しています。主に、ASISAおよびSANITASを取り扱っております。
・待ち時間が短い:専門医の診察も比較的スムーズに予約でき、公的保険のような長い待ち時間を回避できる
・医療費の上限なし:治療内容によって保険適用に上限が設定されない
・免責期間なし:保険登録が完了次第、専門医への受診が可能
・ビザ要件を満たす内容:ビザ申請で求められる条件をクリアした内容で加入できる
既往歴がある方についても、必要な情報を確認したうえで保険会社への告知をお手伝いし、ビザの要件を満たす契約を加入前から加入後までサポートします。
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